《MUMEI》 カタカタと力無く俺達は床に崩れ落ちた。 「もう……結構です。」 安西の耳は真っ赤で、熱のせいか、学ランを少し寛げて上下させながら風を送っている。 互いに呼吸は静かに乱れていた。 「俺なんかじゃ、キモチよくなれない?」 拒まれるのは当たり前だろう、よく付き合ってくれた。 「違います……、あんまり先輩が可愛らしいからどうしようもなくなってしまうんです。 そんな俺とで良かったら、帰ってもらえますか?」 俺が無理強いが嫌なのを知っているから安西は気を回してブレーキをかけてくれる。 忍耐強い。 ふと、神部との会話を思い返した。 「うん。帰る。」 優しい安西に気を遣わせているに違いない。 「それ……誰のパソコンですかね?」 「さあ……。それより帰ろうよ。俺観たいテレビがあるんだ。」 意識的に避けた。 安西に余計に気を遣わせたくない。 これ以上俺が安西に気を遣わせてしまったらただのお荷物になってしまう。 ……じゃあ 誰に俺は相談すればいいんだろうか。 前へ |次へ |
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