貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
外れた世界 その7
一一一一一誰かが傷付くよりは、ずっとマシだ。少なくともそう思って選んだ道だった。だけどそれは何も助けてなどくれない。それが与えてくれたのはひたすらに安らかで曚い「咎蹤」だった。                 どれくらいの間、倒れていたのだろうか。目を醒ますと窓の外は黒い闇に彩られ、夜を告げている。「……また、あの声か。」忘れる事の無い深い声。まるで己の内に巣食う「何か」が叫んでいるかの様な感覚。次第に強くなるそれが何かの予兆である事は薄々気付いていた。しかし、それが何を告げているのかが分からないのだ。 「ぎゃぁあぁああぁぁああ!!」家の外から不意に悲鳴が聞こえた。剣を持って、扉を蹴開する。僕の目に最初に映ったのは一一一一人の肢体だった。血に塗れた人の腕。噎ぶ程の血の匂いに思わず吐き気を催し、口を手で塞ぐ。  「…いったい誰が……。」呟いたと同時に、感じた。暗闇の中に誰かが居る。気配を探り、周囲に警戒を払う。          「あは、ははは!やっと…やっと見つけたよ?《凶神の爪蹤》-カースト・アイゼン-。」狂った笑い声が闇の中から響いてきた。 「誰だ!!」剣を抜き、眼前の黒夜を見据える。すると鎧と外套を纏った自分と同じくらいの外見の男が現れた。見れば、その鎧と右手に握られた剣には飛散した血液が付着している。       理解するのに、恐らく一秒も掛からなかった。こいつが、村の誰かの腕を切り落としたのだ。   「うぁぁぁぁああああああああ!!!」頭で考えるより先に、躯が反応する。踏み込み、剣を振り上げ、そのまま一直線に振り下ろす「ははははは!!僕もフェリスみたいに殺すのかい?生憎だけどねぇ…。死ぬのは君の方だよ!!」男はただ笑い、そして嗤いながら剣を受け止めた。初めからそれを一一一望んでいたかの様に。

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