《MUMEI》
消えた修二
「あれ…居ない…」

急にいなくなった修二に加奈子は焦った。

「きっと私がテレビに夢中になってたせいだ…」

自分を責め始めてしまう。
「怒って帰っちゃったのかなぁ…?」

加奈子は鍵の掛かっていない玄関の扉をみる。


扉が開いた音にも気付かなかったなんて…


かなりテレビに集中していたことに、今更ながら気付かされた。

「取り合えず電話しなきゃ!」

早く謝って仲直りしたいと思い、急いで修二の携帯に電話する。


―ツーツーツーツー…―


しかし話し中なのか、聞こえてきたのは、虚しいばかりの機械音。

「そんなぁ…」



その後、何度か電話してみたが、一向に繋がらないでいた。

留守電に切り替わる事もなく、結局この日は謝る事ができなかった。

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