《MUMEI》
バレンタインデー。(女の子side)
チョコを直接渡しちゃった…。


だって下駄箱にもロッカーにもはるか君の名前が無くて…だからもう、私の知り合いの知り合い…遠いけど、その弟のかなた君にお願いしようと思ったんだけど、それも申し訳ないし恥ずかしかったし…。

だからどうしていいか分からなくなって下駄箱の前でモジモジしていたら、はるか君が現れちゃったんだ。

(ぁ…やっぱり綺麗だな…はるか君は///)

すらっと伸びた手足に、通った鼻筋、ハチミツ色の髪はサラサラしてて、その姿はまるで夢で見た王子様のようだった。

それに弟想いというのは有名だったから、きっと優しい人なんだろうな。

そんな人だからライバルとか多いいかもしれない…。

と思ってたけど、下駄箱で隠れてその姿を見ていたらはるか君は下駄箱を開けてため息をついていた。

(あれ…誰もプレゼントとか入れてないのかな……ぁ、そっか)

私もはるか君のネームプレートを見つけられなかったから、みんなもプレゼントを入れる事が出来なかったのかもしれない。

「あっ…///」

そう言うことは…もしかしたら私のプレゼントを受け取ってもらえるかもしれない。

こんなチビでちょっとぽっちゃり…太って、いる私でも、はるか君とお話が出来るかもしれない。

そう思って、勇気を出してはるか君の目の前までプレゼントを持って歩いて行った。



「ぁ…あのぅ…ジェレミースさん…だよね///」
「…イェレミースだよ…何?」

間違えちゃった!!
だって”Jeremies”っていうアルファベットでしか名前を知らなかったし、”Je”をジェじゃなくてイェって読むなんて、そんなの知らなかったよ///

ど、どうしよう…気分悪くさせちゃったかな…。

「何だよ、かなたにか?」

ち…違うのコレは…あなたに…。

「あの…下駄箱に名前無くて分からなくて…は…はるかさんにコレ…///」

頭が混乱して何をしているのか分からなくなって、はるか君にプレゼントを押しつけるように渡すと、ダッシュでそこから逃げてしまった。

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