《MUMEI》
そんな、フレンチレストラン
.


雑居ビルの一階に構えているそのフレンチレストランは、少しレトロ感の漂うお洒落な内装だった。

昼間なのに証明は薄暗く、静かな空気で、そこそこ値段の張りそうな店だ。

イケメンギャルソンがわたしたちを笑顔でテーブルに案内する。

革張りのメニューと冷たい水が注がれたグラスをわたしたちのまえに置いて、ギャルソンは一旦席を外した。

松本先輩は慣れたようにメニューを開き、わたしにほほ笑みながら言った。

「ここはなんでもおいしいから、好きなものを選ぶといいよ」

わたしも彼にほほ笑み返し、メニューを大きく開いて視線を落とした。



…………。


……………高ッ!?



思わず目をむいた。

前菜のスープだけで有り得ないような値段が書かれている。


つーか、ランチタイムでこんなバカ高いなんて、ディナーはどーなっちゃうんだよ!!


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