《MUMEI》

.

…………しっかし。


……………さっすが、松本先輩!


良いお店をご存じなのねっ!

やっぱり家柄が良いひとは違うわ〜〜!



メニューで顔を隠しつつ、わたしはにんまりした。




先輩がギャルソンを呼び付け、わたしたちは適当に食事を頼んだ。

ギャルソンがテーブルから離れて行ってから、わたしは両手で顔を包みこむようにして、頬杖をつき、柔らかくほほ笑んだ。


「なんか、不思議……日曜日に、松本先輩とこうしてランチしてるなんて」


先輩もゆったりとほほ笑む。


「そうだよね。学校でだってなかなか会えるわけじゃないし」


先輩の台詞に、わたしは俯いて見せて、グラスを指で弄んだ。


「……同じ学校なのに、学年が違うだけで、こんなに遠いなんて……」


先輩は、確かに、と頷いた。わたしはゆったり顔をあげて、静かに呟く。


「寂しいとおもうのは、わたしだけなのかな……?」


「え………?」


先輩は目を丸くした。わたしは儚く笑い、なんでもない、と言葉を濁した。

先輩は複雑そうな顔をわたしに向けている。
.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫