《MUMEI》 全国共通ぐふふっ!と笑いを堪えながらトイレへ向かった。 途中、ギャルソンとすれ違う。ギャルソンはわたしの後ろ姿を振り返り、見とれているのがわかった。 彼は、他のギャルソンに、なあなあ、と小声で話かけた。 「見てみろよ、あの子……」 「あの、前髪あげてる子?」 「すっげーかわいいよなぁ……」 「どこのテーブル?俺と担当代わろーぜ!」 「あー、ダメダメ!!あの子、連れいるよ。オトコの」 「えっ!?マジで?ショック……」 ヒソヒソと、わたしについて話していた。 わたしはゆっくり振り返って、ギャルソンたちを見た。彼らは一瞬ハッとしてわたしの顔を見返した。 そんなギャルソンたちに、わたしはフッと美しくほほ笑んで見せる。 瞬間、彼らはわたしの表情に見とれたまま、呆然としていた。 石化している彼らを尻目に、わたしはトイレのドアを開き、中へ滑りこんだ。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |