《MUMEI》

今日は授業が4時間目までで、その後に久しぶりのLHRがあった。
私の心は憂鬱だ。

「これから、クラスの出し物について決めたいと思います。」

クラス中に歓声が沸きあがる。
高校生活初めての文化祭のことだから、無理もない。

実行委員の真央が進行を進める。

「で、知っての通り、我が学校は、演劇かいわゆる出し物の二つがあります。で、今回は、我がクラスには美男美女が多数いるという上級生による不純な動機で…演劇になりましたーっ。」

またまた歓声が沸きあがり、拍手の音が凄まじい。

「今回は定番のシンデレラ≠することになってます。」

そこで、クラス中が騒がしくなる。主役が誰がいいだの、自分は目立たないけどなんかいる的な役にまわりたいだのと、相談していた。

もちろん、私はやる気が起きない。
だって…余計男子が増えてるじゃない?文化祭って。
まじ最悪だ…。

「でー、推薦にしようかと思ったんだけどー…公平にクジにしちゃいました。」

クラス中からブーイング。
それでもお構いなしに真央はクジをみんなに引かせていく。

シンデレラとか…綾音にぴったりだろうに…
で継母とかそこら辺は優子が適任でしょ。
私は雑用がいいなぁ…まぁ運悪くても貴族Aとかそんな感じでしょ。

私の番になった。クジを引くと、真央に渡す。
真央が開き、読み上げる。

「きましたっ。シンデレラー。」

私は耳を疑う。

はい?今なんて?

クラス中が驚きに包まれる。

「よろしくね、シ・ン・デ・レ・ラ。」

真央がにこやかに私の肩に手を置く。

「ちょっ、ちょ待ってよ。私がヒロインとかおかしいでしょ。だいたい、私男嫌いで…」

真央が私の手をぎゅっと握り締める。

「大丈夫よ…あなたならできるわ。ほら、自信を持って未来に羽ばたくのよ。」

真央の目がきらきらと輝く。


何言ってんの、あんた。


クラスは既にその状況を受け入れたのか、笑いながら頑張れー、と声をかけてくれる。

絶対に無理。ムリムリムリーっ。

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