《MUMEI》
浮いた生徒
どんなクラスにも一人は浮いた生徒がいる。
うちのクラスの場合のそれが、津山 凜だ。

まだ中学生とは思えないほどの落ち着きで、クラスどころか学年でも浮いているのは明らか。

しかし、いじめにあっているかというと、そうでもない。
かといって、仲の良い友人がいるわけでもない。

成績は申し分ない。
話し掛ければ応えるし、時折、笑顔を見せたりもする。
しかし、人とは違う雰囲気が彼女にはあった。

そんな独特な雰囲気を持つ彼女を、クラスの生徒たちは怖がっている。

そう。
嫌っているのではなく、怖がっているのだ。


以前、その理由を何気なく生徒に聞いてみたことがあったが、彼らはなんとも複雑な表情を浮かべるだけだった。
それでも、しつこく聞くと、中の一人がこう答えてくれた。

「あいつの周りでは妙なことが起こるから、気持ち悪いんだ」

妙なこととは、一体。

しかし、その内容までは答えてくれなかった。
生徒たちは凜の話をすることさえ嫌がっているのだ。

その理由を、担任である羽田 美紀が知るのに時間はかからなかった。

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