《MUMEI》
ファンクラブのテーブル
食事とデザートの間は歓談の為に時間を空けるらしく、俺達はしばらく席を自由に移動しながら、話をしていた。


そんな中


(あそこは動かないな)


俺は、ふと気になり、その集団


ファンクラブ会員席に近付いた。


「ねぇ」

「は、はい!」


俺がその中の一人に声をかけると、ものすごく気合いの入った返事が返ってきた。


(そんなに緊張しなくても)


「移動、しないの?」

「え? そそそんな、二人でサボろうだなんて期待しちゃいますよ?」

「?、いや…」

「こらそこ、変な妄想禁止!」


(いつの間に)


さっきまで志穂さんと一緒にいたはずの志貴が、俺の隣にいた。


「か、会長!」

「あんまりひどいとブラックリスト入れちゃうわよ?」

「松木みたいになりたくないだろ?」


(あの時は志貴と頼だったけど)


頼はエイミーに夢中だから、今おどしをかけているのは、志貴と祐だった。


「す、すみません!」


(この二人でも、迫力あるよな)


祐は頼ほど身長は無いが、志貴や頼と似たような、高山一族特有のキリッとした顔立ちをしていて、睨むとかなり迫力があった。

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