《MUMEI》
日系ブラジル人
今日のパーティーでは、大人達にはアルコールも出されていた。


(賑やかだな)


特に盛り上がっているのは、海外からのスカウト組がいるテーブルだった。


(結構いろんな人種がいるな)


英語が飛び交うそのテーブルには


中国人


欧米人


ロシア人


そして、…


(…ヤバい、かも)


俺がコンビニでバイトしていた時


…ストレスが溜まっていて、殴ってしまった


日系ブラジル人の集団の、リーダー格だった男がいた。


(向こうも酔ってたし、今の俺なら、気付かない、よな?)


俺は、当時まだ顔を隠していて、地味な印象だった。

だから、その男


カルロスが、俺と目が合い笑顔で手招きした時


恐る恐るではあるが、テーブルに向かった。


〔こんばんは〕

〔こんばんは〕


(大志さんから聞いたのかな?)


カルロスは、英語ではなくポルトガル語で俺に話しかけてきた。


そして


〔お前、あの時のボーヤだろ?〕


そう言って


あの時、俺が殴った自分の左頬を撫でた。


〔ど、して…〕

〔声と発音が一緒だったから〕


…カルロスは、スカウトされただけあってやはり優秀な男だった。

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