《MUMEI》

「漬物は何となく分かるけど──」

「何だ‥?」

「──干し桃ってさ、美味しかったかなぁ‥」

「僕は結構好きだったな──あの頃は砂糖なんて物はなかったし──甘いだけでご馳走だった」

「あたし杏の方が好きだったな──」

「酸っぱくなかったか‥? あれは──」

「───────」

「石井‥?」

「菜畑って意外と甘党‥?」

「ん‥‥‥まぁ、そうみたいだな‥」

「じゃあ、やっぱ気合うんだね──二人」




 そう、ミドリが言ったら。




「なっ‥当たり前だろうっ‥」





 赤くなって、アゲハ君は空になったお椀をお膳に戻した。

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