《MUMEI》

一希は掃き捨てるように言った。


「確かに実力順で一軍や二軍に別れる。

でも試合の中じゃあ、そんなもん関係ないだろ?


そんなもん気にしてたら試合になんねぇだろ!!」


「……もうえぇよ、一希……。」


俺は彼に感謝した。


やけどな……。


「分かってんねん。

……俺が特別視されること…。」


それが妬みの種となることも。


「そりゃあ、賢史は強いよ?

特別視されるのは当たり前だろ?」


彼は目を細めて、柔らかく笑った。


「認められてるってことだよ。

俺達の努力の成果をな!」


俺の背中をポン、と叩いた。


「な?

もう相当時間食ったから早く再開するぞ。

賢史は続行できるか?」


急に眉間にしわをよせ、大声を張り上げる。


そんな彼の背中を見ながら思った。

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