《MUMEI》

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席に戻ると、松本先輩はあからさまに不機嫌そうな顔をしていた。


ちょっと戻ってくるのが、遅かったかもしれない……。


鏡のまえで、自分の美しさに酔いしれていたら、すっかり時間が過ぎてしまっていたのだ。




失敗、失敗☆


……さてと。




席に着いたわたしは、松本先輩の顔を、ひょいっと覗き込んだ。

「せ〜んぱいっ!?どうしたの?」

かわいらしい声で尋ねると、先輩は、べつに、とそっけなく答えた。

わたしはしゅん…と身体を小さくする。
もちろん演技だ!

「……なんで、怒ってるの?」

「なんでもないよ」


………あー、相当スネてんなぁ。


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