《MUMEI》

「さぁ‥そろそろ出掛けようか」




 朝ご飯を済ませて、先に支度を整えていたアゲハ君。




「石井‥君はまだ食べるのか‥?」

「ゴメン、何か妙〜食欲沸いちゃってさぁ──これお代わりしたら行くから先行ってていいよ?」

「‥‥‥どうして君は‥」

「丘に行くんでしょ? もう場所なら分かってるし──それにさ」

「何だ‥?」

「何でもない♪」

「‥意味が‥分からないんだけど」

「ハイハイ、行った行った♪」

「‥追い出していないか‥? 何気に‥」




 ミドリに呆れながら、アゲハ君が呟いた。

「では‥行くとするか──。サクヤ、支度はいいか」

「ぁ‥うんっ」

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