《MUMEI》
待っていた台詞
わたしは涙声でつづけた。

「………答えられないんだね…」

先輩はハッとしつつも、どうしても言いよどんでしまう。

「……僕は…」

言いかけた先輩を、わたしは、でも…と遮る。

「いいの……気まぐれでも、先輩がこうやって時間をさいてくれたもの…それだけでうれしい……」

わたしは儚くほほ笑んで見せた。わたしの台詞に、先輩はなにかを確信したようで、急に真面目な視線をわたしへ向け、声を改めた。

「片倉さん……僕は……」




…………来たッ!!




わたしは、ほくそ笑む。

さあ、言いなさい。

わたしが待ち望んでいる、その台詞を!!


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