《MUMEI》
お揃い
「おい柊、いい加減、戻ってこい!」


祐は何度も叫び、頬を軽く叩いた。


結局柊が戻ってきたのは


俺が、大さんと楓さんから漢方系の胃腸薬を


守と吉野から扇子を


長谷川と真司から、文房具を


瀬川と渡辺から、図書カードを


石川から、『何でも一品手作り券』を


松本から、図書館で俺が読んでいたシリーズ物の新刊を


果穂さんと、大志さんからノートパソコンを


それぞれ、プレゼントされた後で


柊の頬はかなり赤くなっていた。


柊が戻ってこれたのは、時間のおかげでも、祐のおかげでもなく


「な、仲間!」

「「違う!」」


柊がそう叫んで、すぐに否定した二人が


厳と拓磨が俺に渡したプレゼントがネックレスだからだった。


「違わないよ」

「「俺は磁気ネックレス!… え!?」」


再びかぶった厳と拓磨は顔を見合わせ、恐る恐る、確認し始めた。


「百聞は一見にしかず!」


志貴が二人の包装を破り、中身を取り出すと


確かにそこには全く同じ


しかも、俺でも似合わないかもと思うほど、微妙なデザインの磁気ネックレスがあった。

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