《MUMEI》 自分限定センス「イエスタクマはわかるけど、何で厳までこんなの選んだの?」 志貴は密かに『イエスタクマ』が気に入っていた。 「そういえば、そうだな」 (俺もそう思う) 言動には移さなかったが、俺も志貴や祐と同じ気持ちだった。 「厳は男物選ぶセンス無いからな。自分以外」 「女物を選ぶセンスは昔からあるのに」 「要するに、自分以外の男はどうでもいいんだろ?」 「ち、違う!」 頼とエイミーのやりとりに、厳は慌てて否定した。 「本当に、俺はいつだって一生懸命選んでるんだ!」 「父さんのプレゼントも?」 「そうだよ」 「ジョークじゃなくて?」 「あのお前似で嫌味大好き父さんに、そんな事誰が好んでやるか!」 厳は、その時の状況を思い出しているらしく、かなり必死で反論した。 「…それもそうだな」 「…何でか、うまく選べないんだよな〜」 (松本と石川がセンスあるか、今度試すか) 花嫁候補を選ぶ基準の中には、相手の足りない部分をカバーするという項目があった。 「…それだけよければいいじゃないか…」 全てのセンスが微妙な拓磨が、低い声で呟いたのを、…全員、聞きのがさなかった。 前へ |次へ |
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