《MUMEI》

わたしはゆるりと瞬いた。


……そして、天使のようにふんわりとほほ笑む。


「もちろん!」


わたしたちはほほ笑み合いながら、ゆっくりと流れるエスカレーターの動きに身を任せた…………。






松本先輩が行きたかったのは、どうやら本屋のようだった。

デパートがある通りの並びに、有名な本屋のビルが建っていて、そちらに向かって歩いていた。


「最近、ミステリー小説にハマっててさ。読みはじめると止まらなくて、すっかり寝不足なんだよ」

「そんなに面白い小説があるんですか?」

「たくさんあるよ。よかったら、こんど貸そうか?」

「え〜〜?ホントですか?うれしい♪」


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