貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》入水火傷【二】
今年一番のプール。
冷たい水に足を浸せば、キャアキャアと上がる歓声。パシャリと水飛沫が舞う。
『はい、それでは休憩に入りまーす。』
教師の一声で、勢いよくプールから上がる生徒達。彼女達を尻目に、朝子は一人水面に浮かんでいた。そして何をするでもなくただぼんやりと空を見ていた。昨日まで降り続いた雨が嘘みたいにカラッと晴れていた。
(こーやって水の中にもぐってれば、そのうち死んじゃうんだもんな)
(人って、弱っちい)
口から吐き出した息が泡となり、プクプクと空へと昇っていく。
(この息ぜんぶ吐きだしたら、あたし死ぬのかな)
そう思うと、急に水が冷たく感じた。
(こんなひんやりとした水の中で死んだら、ずっと腐らないでいるのかな)
(綺麗なままで、いられるのかな)
朝子はゆっくりと目を閉じ、瞼の裏に広がる青だけを追いかけた。
薄青、群青、藍色、濃紺…
(あ、)
少しづつ明度を落としていく青の波紋。
(気持ちいいかも…)
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