《MUMEI》

「関谷は陸上部最速だった。


俺も2番手に付けてたな。


つ〜か俺たち、


地区だと結構レベル高かったんだよ。」


「んで?」


「日高!!」


「い〜じゃん別に。


でさ?


当然俺たちも上目指してたわけ。


なのに…」


「なのに?」


「大会のメンバーがベストメンバーじゃなかったんだよ。」


「何で?」


「陸上部に顧問の子どもがいたから。」


「はぁ!?」


「個人種目ならまだい〜さ。


でもリレーにまで選んだんだよ?


あり得ね〜っつの。


結局そいつのせいで惨敗。


俺たち個人種目は良い成績だったけど、


あいつの下でやるのが嫌だったから辞めたんだ。


そん時にハンド部が部員勧誘やってて、


ハンド始めたんだ。


入部時期は違かったけどな。」


「ふ〜ん。
なるほどね。」


そう言うと一ノ瀬は、


再び音楽を掛け踊り始めた。


「俺的にはお前らの顧問に感謝だけどな。」


「何で?」


「お前らを、


陸上部から追い出してくれた。


おかげで俺はハンドに楽しさを見いだせた。


…大会では負けね〜かんな。」


「…言ってろ。
市民体の借りは返す。」


…夏は始まったばかり。


これから先もっと暑くなることを予感させる、


日曜の昼下がり。

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