《MUMEI》

(結局1人も引っ掛かんなかったし…。


クソ!!


マジ全部あの黒人のせいだわ!!)


1人大通りを歩く沖。


(なんかナンパって気分じゃなくなったな…
かといってこのまま帰ったら何しに来たんだよって話だ。)


「ふぅ…」


(映画でも見て帰るか…。)


沖は1人、


映画館へと向かう。


チケットを買い、


映画館内に入る沖。


しばらくすると映画が始まった。

















「うっ…うっ…」








泣き出す沖。


(やべぇよバカ野郎…
皆良い奴ばっかだよ…)


「うっ…うっ…」


泣く沖。


「うっ…うっ…。
ごれよがっだらどうぞ…。」


沖の泣く声を聞き、


隣の席の人がティッシュを差し出す。


その人の声も泣いていた為震えていた。


「ずびばぜん。」


ティッシュをもらい鼻をかむ沖。


「ぐす…」


そしてまた映画を見る。


「あっ…
ティッシュいいでずが?」


隣の席の人が声をかける。


ティッシュを返すのを忘れていたのだ。


「あっ…
ずびばぜん。」


ティッシュを返す沖。


瞬間。


2人の目が合う。


「あ〜!!」
「あ〜!!」


映画館に2人の声が響き渡る。

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