《MUMEI》

思いがけず義仲の姿を見つけて、つい、足を止めてしまった。


彼は手に数枚のお札を持って、それを眺めながらつまらなそうに、舌打ちした。


「3人で1万8千円だけかよ。シケてんなぁ、おまえら」


だれかにボコボコにされたように、顔が醜く腫れ上がっている少年たちが、義仲に対してペコペコと頭を下げた。


「これで全部なんですよ、ホントに!!」


「ゆるしてくださぁいっ!」


「俺らが悪かったです〜!」


義仲ひとり相手に、少年たちは本気で泣いている。




………こ、これは、


俗にいう、『カツアゲ』ってヤツ?


えげつないことしてんな、アイツ。



………ま、やくざの息子だしね。




変に納得してしまった。


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