《MUMEI》
祐待ち
秀さんの店を出たのは俺が先だったが、俺が駐輪場に着いた時、既に車で送ってもらった志貴と柊は到着していた。


(性格出るよな)


俺がもらったプレゼントを運んできた柊は、両手が塞がった状態で俺の部屋の前を右往左往していて


志貴は、そんな柊を注意する事なく、ただジッと立って俺を待っていた。


「待たせたな」


俺を見て、すぐに柊の動きは止まり


志貴はうつ向いていた顔を上げて、俺を見た。


「祐がまだだから、話は始めないけど、中に入ろう」


三月といっても、夜はまだ肌寒いから。


俺の言葉に、二人は大人しく従った。


「隣、まだ帰ってないみたいね」


志貴が気にした隣は、エイミーの部屋の事だった。


(実際気にしてるのは、エイミーじゃなくて頼だろうな)


それは、俺も気にしていた事だった。


「あぁ、俺が果穂さんに頼んだから」

「…何を?」

「頼が俺の話を聞きたがるだろうから、今日だけは高山本家にエイミーを泊めてくれって」


エイミーは、頼ほど俺の話には興味が無いから、果穂さんに言われ、あっさり高山本家に泊まる事を了承した。


だから、今日頼が隣に来る事はなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫