《MUMEI》

出席番号順に列を成したところで、1組から順番に博物館の中に入っていく。

中に入って、私は驚いた。
だって、博物館だと思っていたら美術館だったから。建物の名前とか全然気にしてなかったし。
でも、まぁどっちでもいいけどさー。

飾られている絵は、どれも有名な絵ばかりだ。ゴッホの「ひまわり」もある。
基本絵が好きな私は、見ていてなかなか楽しかった。
だが、ひとつだけ楽しくないものがあった。他ならぬ、徳山と隣であるということだ。
今日は気の利く日なのか、少し離れてくれているが、今までの嫌がらせが頭を離れなく、なんとなく嫌な気分が続いている。

思わずため息が出た。

「おい…人の顔見てため息つくなよ。失礼にもほどがあるだろ?」

徳山が眉をひそめた。

「あんたの顔見たら無性に腹が立つ。」

「相変わらず、ひでーな。ま、いーけど。」

私を見下ろすように徳山は見た。目が冷たかった。
私はたじろいた。

「…お前さ、拓也と今どんななわけ?」

「どうって…。」

成田の名前を聞いて、思い出してしまった。あの日のこと…。
今だに何がどうなってああなったのか分からない。
頬がカーッと熱くなる。

「あー、はいはい。もういいわ。だいたい分かった。」

徳山はそう言うと、私から目を逸らした。
私は、自分から聞いときながら何なの?、と思いながら、頬のほてりを必死に抑えた。

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