《MUMEI》 わたしは長い髪の毛で顔を隠しながら、なんでもな〜い…と、ぼそぼそ答えた。その仕種が一段と不審に見えたのか、有り難くないことに、先輩は心配そうにさらに声をかけてくる。 「本当に?なんかちょっと、変だよ、片倉さん」 …………『変』とか言うなしっ!傷つくだろっ! 「ホントになんでもないんです…」 やっぱり小声で答えてから、どうしても気になったわたしは、顔を隠しながら、チラッと義仲たちがいる方を盗み見た。 −−−そして、後悔する。 義仲がなにかを感じたのか、ゆっくりと振り返り、 不審な動きをしているわたしと、 バッチリ目が合ったのだ………。 . 前へ |次へ |
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