《MUMEI》

わたしが固まったのを見て、義仲は笑った。


「照れてやんの、かっわいい〜!」


わたしはハッとして、義仲に食ってかかる。


「違うわ、どアホ!」


ギャアギャア騒いでいるわたしたちの背後で、松本先輩が、ぽつんと呟く。


「……キス?」




…………ヤバイ!!




義仲を押しのけながら、恐る恐る振り返り、先輩の顔を見る。

松本先輩は複雑そうな顔をしてわたしの顔を覗き込んだ。


「片倉さん、ホントに……?」


わたしは慌てる。
.

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