《MUMEI》

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「まー、そう落ち込むなって!」


呑気な義仲の声が聞こえてきたが、もうそれどころじゃなかった。

わたしはあまりのショックで、先輩に突き返された紙袋を抱えたまま、動けなかった。


呆然自失。


そんな言葉が、よく似合う。


「璃子ちゃん?」


ひょいと義仲がわたしの顔を覗き込んだが、反応出来なかった。



フラれた。

この、わたしが。




ずっとおもい描いていた夢が、絶たれた。




玉の輿の、夢が。

社長婦人の椅子が。

輝かしいセレブ生活の、未来が。



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