《MUMEI》

「‥何だよ」

「ぃぇっ、ゅ‥夕焼け綺麗ですねっ」

「‥‥‥何気に今ごまかしたろ」

「ごまかしてなんかないですよぉ♪」

「‥無駄にテンション上げんのやめろ」

「ぅっ‥スイマセン‥」

「‥何か‥‥‥」

「ハイ?」

「‥変なデートになっちまったな」

「そうですか? 私楽しかったですよ♪」

「‥敬語やめたらどーだ‥?」

「何かくせになっちゃって、あはは‥」

「‥いーなら別に文句言うつもりねーけどな」

「───────」

「帰っか‥‥‥」

「もうですか?」

「‥野宿してーのか‥?」

「ぜ‥全然っ‥」

「‥なら来いよ、夜になっちまうぞ」





カイ君に引っ張られて、私は歩き出した。





──何か、嬉しかった。

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