《MUMEI》 《俺のモノ》. 「璃子ちゃーん?おーい」 真っ白になっているわたしの眼前で、義仲が呑気な声をあげながら、手をヒラヒラとかざす。 わたしはゆっくり顔をあげ、義仲を見上げた。彼は、大丈夫?とニヤニヤしながら尋ねてくる。 そうだ…………。 ほかならぬ、 このアホのせいで………ッ!! 憎しみのあまり、わたしは手にしていた紙袋を、義仲の顔目掛けて力いっぱい投げ付けた。 −−−−バシッ!! 「いて!!」 油断していた義仲は、まともにその攻撃をくらい、顔を右手で抑えながらよろめいた。つづけざまにわたしは叫ぶ。 「なんなのよ、あんたはっ!!」 義仲は顔に手をあてたまま、こちらを見ようとしない。わたしのイライラが増す。 「いっつも、いっつもわたしの邪魔ばかりして!わたし、あんたになんかした!?なんの恨みがあってこんな……」 そこまでまくし立てて、黙りこんだ。腹が立ちすぎて言葉が出てこない。 重苦しい沈黙が、あたりに立ち込めた………。 . 前へ |次へ |
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