《MUMEI》

それは揺るぎない自信に満ちた声だった。


わたしは思わず、言葉を失う。




−−−−こいつ……。



正真正銘の、バカだぁッ!!





「ふざけんなぁッ!!」


わたしは、大地が揺れるかとおもうほどの大音量で叫ぶ。


「ひとのことバカにすんのも、大概にしやがれ、このアホゥ!!わたしはアンタのオモチャじゃないんだよッ!!」


わたしの叫び声にも、義仲は微動だにしなかった。

ただ、じっ…と静かにわたしを見つめて、黙りこんでいた。

全然怒りがおさまらないわたしは、キッと義仲を睨みつけて、アンタなんか……と、つづけて言った。


「豆腐のカドに頭ぶつけて死んじまえっ!」


バーカ、バーカ!!と叫びながら、わたしはその場から走り出した。もちろん義仲からの報復を恐れての言い逃げだ。




−−−−悔しい。


くやしぃぃぃぃいッ!!




遠くから、豆腐に頭ぶつけても死なないよー、と義仲にしてはめずらしく冷静な声が聞こえた気がした………。



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