《MUMEI》 それは揺るぎない自信に満ちた声だった。 わたしは思わず、言葉を失う。 −−−−こいつ……。 正真正銘の、バカだぁッ!! 「ふざけんなぁッ!!」 わたしは、大地が揺れるかとおもうほどの大音量で叫ぶ。 「ひとのことバカにすんのも、大概にしやがれ、このアホゥ!!わたしはアンタのオモチャじゃないんだよッ!!」 わたしの叫び声にも、義仲は微動だにしなかった。 ただ、じっ…と静かにわたしを見つめて、黙りこんでいた。 全然怒りがおさまらないわたしは、キッと義仲を睨みつけて、アンタなんか……と、つづけて言った。 「豆腐のカドに頭ぶつけて死んじまえっ!」 バーカ、バーカ!!と叫びながら、わたしはその場から走り出した。もちろん義仲からの報復を恐れての言い逃げだ。 −−−−悔しい。 くやしぃぃぃぃいッ!! 遠くから、豆腐に頭ぶつけても死なないよー、と義仲にしてはめずらしく冷静な声が聞こえた気がした………。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |