《MUMEI》

アラタはその場から離れようと坂を下る。





  後ろから急に気配


振り返る前に首を引っ張られた

苦しい

逃げる間もなく腕を掴まれ、後ろから黒い影が覆いかぶさる。


いやだ


   汚れる


顔に黒い影が掛かる

夢の中みたいにドロドロになっていく錯覚。




そう幻。



  生命の息遣い

    体温

  ぶつかる視線



そんなもの、夢で一度だって出てこなかった。



人間と人間とが
    接触すること


生きているということ


首の痛み

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