《MUMEI》

 また取り残されてしまった、私とアゲハ君。




「──石井は本当に──」

「ふふっ、うん」

「座るか──まだ彼女が戻って来るまで時間がありそうだし。‥‥‥」

「アゲハ君?」

「名残惜しいな、と」

「また来年来ようよ、ね?」

「今度は一週間は滞在したい所だな」

「春休みとか──‥ぁ、まだ咲いてないかな‥」

「いや、こちらは早いから」

「──じゃあ三人でまた」

「今度は『二人で』来なよ♪」

「ミドリ‥?」

「あたしはほら、案内役って事で来ただけだし、ねっ?」

「ぇ、でも‥」

「はいっ、お弁当♪」

「──ありがとう──」





 二人で、か──。 ちょっと恥ずかしいな‥。

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