《MUMEI》
幸せってなんだろう?
…あるところに、


何でも知りたがる猫がいたそうだ。


ある日猫は思った。


『幸せってなんだろう?』


調べても調べても答えは見つからなかった。


どうしても知りたくなった猫は旅に出た。


幸せを見つける旅に。


雨の日も風の日も、


雪の日だって幸せを探した。


それでも幸せは見つからなかった。


歩くことに疲れてきた。


少しペースは落ちたけと、


それでも猫は幸せを探した。


朝起きるのが遅くなった。


それでも幸せを探すことをやめたりはしなかった。


満月の夜。


猫は木の下で寝ることにした。


近くには気持ちよく眠れそうなところがたくさんあった。


それでも木の下がよかった。


だって、


体が痛いからそれ以上動きたくなかったんだ。


横になった猫は満月を眺めた。


しばらく眺めていたら、


見つかった。


『あぁそうか…。


これが幸せなんだ。


どんなに歩いても、


どれだけ眠っても、


また朝が来ることが、


幸せなんだ。


そうか…。


僕はずっと幸せだったんだ…。』


そう言うと猫は、


安らかな顔をして眠った。


あぁそうか…。

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