《MUMEI》

わたしは、質問を無視して黙りこんだ。少し顔をあげ、じっと彼らを睨みつける。


すると、少年のひとりがわたしに近づいた。


少年はわたしの目の前で立ち止まると、顎をつかんで無理やり顔を上げさせた。


「さっきは、キミの彼氏にずいぶんお世話になってね〜。もー、はっきり言って、俺たちメンツ丸つぶれなのよ。わかる?」


わたしのコメカミが、ぴくっと痙攣する。




…………カ レ シ?




先程、街中で義仲と言い合っていたとき、わたしの顔を覚えていたのだろう。そしてあのとき、義仲が『わたしの彼氏』だと公言したことも、たぶん聞いていたのだ。




…………って、またアイツのせいかっ!

ロクなことしねーなっ!!




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