《MUMEI》
横文字
   〜麗羅視点〜


会計を済ませ、次の目的地へ向かう。


次の目的地へ移動する間に先程買ったお菓子の本を開き、材料と分量を暗記する。


・・・・・・・?


材料欄にある見慣れない横文字に思わず、眉間にシワが入る。


く・・・くーべるちゅーる??


クーベルチュール・・・。


初めて見る単語をなんとか読み、頭に焼き付けるように繰り返す。


卵にバター、生クリーム・・・・・


他の材料は難なく覚えることが出来た。


目的地のスーパーに着いたので、本をしまいさっき覚えた材料を次々とカゴにいれていく。


クーベルチュール以外の材料をカゴに入れ終わり、最後の難関を探す。


30分探し回ってもお目当てのものは見つからない。


な・・・・・・ない。


そもそもクーベルチュールが何か分からないのに探すのは、ちょっと無謀だったかな・・・?


途方に暮れ、商品棚をじーっと見ていると


「何かお探しですか?」


聞き覚えのある声が耳に入る。


声がした方に振り返り、声の主を確かめる。


「真星!」


「びっくりした?」


店員を装い話しかけてきた真星は悪戯っぽい笑顔を浮かべる。


「帰ってたらお母さんから買い忘れ物買ってきて〜って電話あってさ」


人使い荒いよねっと付け加えて真星は苦笑いした。


「麗羅は?何か探してるの?」


真星はまたもや同じ質問を投げかける。


「く・・・クーベルチュールを探してて」


多分、真星も知らないだろうなっと諦め半分で質問に答える。


「クーベルチュールかぁ・・・スーパーには売ってないだろうね。

お菓子の専門店とかなら普通に売ってるんだけど」


真星は口元に手を当ててうーんと唸る仕草をとると、私の手を引き歩き出した。


私は真星がクーベルチュールを知っていたことに驚いたが、素直に真星についていく。

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