《MUMEI》
厄介な奴
「俺も一言多いって言われるけど、祐也も相当だよな」


志貴と柊を見送った後、祐は笑いながら言った。


「お前ほどじゃない」


(一緒にするな)


「はいはい。で、風呂どっちから入る?」


祐に俺の睨みは通用しなかった。


そんな祐が、俺には…


厄介で、不安だった。


だからこそ、話しておきたい事があった。


「祐也?」

「あ、あぁ。俺は、後でいい」

「そ? じゃあ、お先」


(…どう話すのが、一番いい?)


祐が消えてからも


交代して、シャワーを浴びている間も、俺はそればかり考えていた。


(下手に喋ると、墓穴掘りそうだし…)


変な所で勘がいい祐は、本当に俺にとって厄介な存在だった。


(先に寝られたら、ヤバいな)


俺は早めに部屋に戻った。


「せっかくだから、男同士で下ネタトークでもしよーぜー

志貴と柊とはできないだろ?」


先程までの重い空気を変えようとしているのか


それとも本当に下ネタが好きなのか


(本当、わかんない奴)


俺はため息をついて


肯定も否定もせずに、祐の布団の隣にぴったりとくっついている自分の布団の上に座った。

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