《MUMEI》 真星と幼なじみ〜麗羅視点〜 「これをクーベルチュールの代わりに使ったらいいと思うよ」 そう言って真星は私に、スイートチョコレートと書かれたチョコレートの塊を手渡した。 私がチョコレートの塊を不思議そうに見ていると、真星はふふっと微笑んむ。 「クーベルチュールっていうのは、カカオバターの含有量が多い製菓用のチョコレートのことだから、それを代わりに使っても大丈夫だよ」 クーベルチュールってチョコレートだったのか。 クーベルチュールの正体が分かり、何度も頷いていると真星は可笑しそうに笑う。 真星って物知りだなぁ・・・!真星に関心しながらふとした疑問を投げかける。 「真星はよくお菓子作りをするのか?」 さっきまで可笑しそうに笑っていた真星の表情が一瞬止まった。 「あ―・・・うん。 今日、見た幼なじみいるでしょ?前は凄く仲良くてさ・・・ それでその幼なじみが甘い物好きでよく作ってたんだ」 そう言って微笑んだ真星はとても優しくて、でもどこか切ないようなそんな顔をしていた。 「ってもうこんな時間?やばっ!お母さんに怒られちゃう! じゃあ麗羅また明日ね」 そう言って真星は手を振りながら、笑顔で去って行く。 真星が手渡してくれたチョコレートの塊をカゴに幾つか入れ、最終確認をしながらレジへ向かう。 レジの人が商品を1つずつ新しいカゴに移していくのを見ていると、ふと不安がよぎる。 お菓子ちゃんと作れるかな・・・? お金を払い、買ったものをビニール袋に詰めていく。 家事全般は出来るもののお菓子を作るのは・・・初めて。 さっき本屋さんで作り方を読んだ時も、よく分からない専門用語がつらつらと並べてあった。 まぁ、なんとかなるよね? 不安を払いのけながら、ビニール袋を片手に持ち家に帰る。 晩御飯の買い物をしていないことに気がつくのはもう少し後・・・。 前へ |次へ |
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