《MUMEI》
初めてのお菓子作り
   〜麗羅視点〜


家に着き、テーブルの上に材料とお菓子作りの本を広げ、さっそくお菓子作りに取りかかる。


え―とまずは・・・

お菓子作りの本を覗き込み、手順1に書いてある文を読む。


「ガナッシュを作る」


細かい説明を声に出して読みながら、説明通りに手を動かす。


生クリームを鍋に入れて・・・火にかける。


生クリームを沸かすって書いてあるけど沸騰させていいのかな・・・?


ん〜っと眉間にシワを寄せながら、本と格闘しているうちに生クリームがふつふつとして来たので火を止める。


え―と次は・・・チョコレートの塊を湯煎で溶かすのか。


ボールにお湯を注いで、チョコレートをその中にひとかけら入れ、手を停める。


・・・・・・・・・。


お湯に入れ溶けたチョコレートを見て、目をパチクリさせる。


ボールの中には、何とも言えない光景が広がっている。


恐る恐る湯煎で溶かしたチョコレートに指をつけ、口元に持って行き味見をする。


・・・・・・・・・・美味しくない。


っと言うより、食べれる物で作ったとは思えない。


口をすすいで再び本に目をやる。


そこにはやはりチョコレートの塊(クーベルチュール)を湯煎で溶かすと書いてあった。


首を傾げながら、説明の隣にある写真に目をやる。


そこにはお湯が張ってあるであろう少し大きめのボールに、細かく刻んであるチョコレートの入ったボールが入れてあった。




湯煎で溶かすってそういう意味だったのか!


ぽんっと手をたたき、先程のチョコレート色をしたお湯を捨て、新たにキレイなお湯を注ぐ。


写真のようにチョコレートを包丁で刻み、新しく用意したボールに入れ、湯煎に入れる。


みるみる溶けていくチョコレートを見て、少し感動する。


ちゃんと本を読んでやれば、初心者の私でもちゃんと作れるような気がしてきた。


溶けたチョコレートを見て前向きになった私は、次の説明を読む。


溶けたチョコレートを沸かした生クリームに加えて混ぜるっと。


完全に溶かしたチョコレートを、もう冷えてしまっている生クリームに加える。


あ・・れ・・・?


何かチョコレートが固まってきてる?



鍋の中には、また何とも言えない光景が広がっていた。


溶けたはずのチョコレートが固まっていくのを見て、あたふたする。

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