《MUMEI》
一方的に話す祐
「祐也は初恋はいつ? 俺は三歳」

「…」


(そんなの、知るか)


物心ついた時には、俺は旦那様が好きだった。


しかし、その好きが恋愛の好きに変わったのは、正直いつかよくわからなかった。


「初チューは? 俺はね、三歳。相手は女の子。男とは、五歳」

「…」


旦那様にはよくキスされていたが、どれが最初かは記憶に無かった。


その位、当たり前に俺は旦那様と唇を重ねていた。


「初体験は? 俺は、女の子は中一で、男の子は中三」

「…」


(自分の方が早いと思ってんな)


俺の方が遥かに早いと知ったら祐は驚くだろうと思ったが


俺は、無言を貫いた。


「何か喋ってよ、祐也。

…ていうか」


祐は俺の顔を覗き込んだ。


「俺だけにしたい話があるんだろ? さっきよりもっと言いづらい話が。

せっかく俺が話しやすい空気を作ってやってんだ」


かなり、低い声でそこまで言った祐は


「早く話せよ? じゃないと寝ちゃうよ?」


すぐに口調を普通に戻し、笑いながら欠伸をした。


「お前にしたいのは、話じゃない。

…『お願い』だ」


俺は、やっと目的を口にした。

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