《MUMEI》 三度ボールが中央に置かれた。 同様に対峙する、智哉と俺。 「どうした? お前、顔色悪いぞ?」 「そ、そうか?」 自分では気がつかなかった見たいだが、智哉にはっきりと言われて、腕が少し震えているのに気付いた。 それを彼に悟られないよう、背中の後ろで隠す。 「だ、大丈夫やから。 今度はきっちり決めさせてもらうで。」 作り笑いを彼に向けた。 「そう簡単に行かせるか!!」 良かった…。 上手く誤魔化せたみたいだ。 開始のコールが鳴り響いた。 今度ボールを制したのは、智哉。 「どけどけー!!」 奇妙な雄叫びを上げながら、ぐんぐん人を抜いて行く。 くそっ! 後を追おうとした……が、立ち止まった。 何故だ? 何故動かない!!? 皆動きがバラバラで、ボールを取りに行こうと言う、気迫が感じられない。 「おい、後追えよ!!」 ……駄目だ。 動きが鈍すぎる。 前へ |次へ |
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