《MUMEI》

三度ボールが中央に置かれた。


同様に対峙する、智哉と俺。


「どうした?

お前、顔色悪いぞ?」


「そ、そうか?」


自分では気がつかなかった見たいだが、智哉にはっきりと言われて、腕が少し震えているのに気付いた。


それを彼に悟られないよう、背中の後ろで隠す。


「だ、大丈夫やから。

今度はきっちり決めさせてもらうで。」


作り笑いを彼に向けた。


「そう簡単に行かせるか!!」


良かった…。


上手く誤魔化せたみたいだ。


開始のコールが鳴り響いた。


今度ボールを制したのは、智哉。


「どけどけー!!」


奇妙な雄叫びを上げながら、ぐんぐん人を抜いて行く。


くそっ!


後を追おうとした……が、立ち止まった。


何故だ?


何故動かない!!?


皆動きがバラバラで、ボールを取りに行こうと言う、気迫が感じられない。


「おい、後追えよ!!」




……駄目だ。


動きが鈍すぎる。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫