《MUMEI》

「俺もう帰っていい?」

神部もいい加減飽きたようでオレンジアイスティーに浮かぶオレンジをストローで突いていた。


「駄目です!ちゃんとお話ししましょう。」

瞳子さんの熱意は沈下されない。


「放っておけばいいんじゃないの。関わった分、相手に迷惑だ。」

神部らしい解答だ。


「でもおーちゃん、関わって欲しがってるのかもしれない、距離を置くことで気を引きたいとか。口に出したくないなら態度で示すしかないだろ?」

そっちは七生らしい解答だ。


「では相手の方は二郎さんに実は気付いて欲しいことがあるんですね。」


「……かもしれない。
些細なことでも見落とさないようにすればなにか分かるんじゃないかな。」


「想像は各々あるようだけど、願望みたい。俺は杞憂だと思う。」

神部の引っ掛かる言い方が気になって仕方が無い。


「結局、俺が自分でどうにかしろと?」

正直、見えている答えだった。
話を聞いて欲しかっただけなんだ。


「そんなものだろう。」

神部……。瞳子さん怒ってるぞ……。
そうか、わざと怒らせてるんだな?

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