《MUMEI》
危機一髪
「!?」

2人のハンターは、突如として立ち止まった。

その狼が、自分達の目の前に姿を現したからだ。

「ほおう、どうやらコイツ、血迷ったらしいな」

「ああ。まさか自分から捕まりに出て来るとは」

2人は罵るように狼を見下ろして笑った。

狼はキッと彼らを見上げると、

〔ち‥見下すような眼でオレを見やがって‥〕

荒んだ金色の眼で2人を睨み、牙を剥いて低く唸る。

それを見て、ハンターは再び笑い出した。

「何だ、往生際の悪い奴だな」

だが、身動ぎひとつしなくなった狼の姿に、2人は顔を見合わせた。

そして、その内の1人が言う。

「フッ、まさか逃げる手段でもある‥ってのか?」

〔あるさ‥〕

狼は答えたが、その声は人間には聞こえない。

どうやら2人は誤解をしたらしかった。

「──まあいい。そろそろケリをつけさせて貰おうか」

──チャ‥。

銃の先が、狼に向けられた。

そして、

──ダンッ!

銃声が響き渡った。

だが。

「!?」

「ちっ、外した」

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