《MUMEI》
少女の声
その幼い狼は、ようやく、柔らかな地面に消耗しきったその体を横たえた。

(──覚えとけよ‥今度きやがったら只じゃおかねぇ)

暫くすると、狼は痛む脚を引きずるようにして彷徨い始めた。

だが‥。

どうやら、迷子になったらしい。

〔ち‥〕

どうしようもなくなった。

どんなに歩いても、元いた場所には戻れそうにない。

〔ちくしょう‥、!?〕

突然、激しい痛みに襲われた。

もはや立ってはいられない。

そのまま、土の上に倒れ込んだ。

その時、

「‥わ、大丈夫‥?」

少女の声がした。


だが、それに答える間も無く、狼の意識は遠のいて行った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫