《MUMEI》 少女の声その幼い狼は、ようやく、柔らかな地面に消耗しきったその体を横たえた。 (──覚えとけよ‥今度きやがったら只じゃおかねぇ) 暫くすると、狼は痛む脚を引きずるようにして彷徨い始めた。 だが‥。 どうやら、迷子になったらしい。 〔ち‥〕 どうしようもなくなった。 どんなに歩いても、元いた場所には戻れそうにない。 〔ちくしょう‥、!?〕 突然、激しい痛みに襲われた。 もはや立ってはいられない。 そのまま、土の上に倒れ込んだ。 その時、 「‥わ、大丈夫‥?」 少女の声がした。 だが、それに答える間も無く、狼の意識は遠のいて行った。 前へ |次へ |
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