《MUMEI》
不思議
「ねぇっ、大丈夫‥!?」

〔‥っ!?〕

幼い狼は、その声に顔を上げた。

そして、自分を見下ろしている少女を見つめた。

(人‥間‥‥っ)

たちまち狼の表情が強張る。

途端、傷が痛み出した。

〔うっ‥〕

「‥ねぇ、君‥ケガしてるんでしょ?ほら、見せてみて」

〔触んな〕

「‥え?」

〔!?〕

驚いたのは、少女だけではなかった。

〔お前‥オレの声が聞こえんのか?〕

「え?だって、今『触んな』って言ったでしょ?」

〔‥ち‥、本気かよ‥〕

「いいから、ケガ見せてったら」

〔るせぇ。とっとと消えろ〕

「あたしは君を傷付けに来たんじゃないよ?」

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