《MUMEI》

義仲はゆっくり振り返り、


ナイフを構えて突っ込んでくる少年を見据えて、


身体を反転させ、その攻撃をかわす。そしてすかさず、相手の顔面に裏拳打ちをお見舞いした。

少年は鼻血を吹きながら、崩れ落ちる。彼が持っていたナイフも、地面に転がった。

義仲は地面の上で妖しく光るバタフライナイフを見下ろし、しゃがみこんだ。


「……いいもの、持ってんじゃん」


呟きながら、ナイフをゆっくり拾いあげる。
そして、鼻を抑えて泣いている少年の髪を掴み無理やり顔を上げさせると、


その頬に刃をあてて………


切り付けた。


バッと鮮やかな赤いものが飛び散る。


「うわあぁぁッ!!」


切り付けられた少年は、大声で喚き、血まみれになった顔を両手で抱えた。


.

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