《MUMEI》 「…………ぅうんっ」 力が抜けて体の軸がぶれ、苦しさのあまり変な声が出てきた。 傘の柄が首から外れる。 「……なんだ、 そーゆー顔も出来るんだ。 不感症のゾンビだと思ってたけど お前 ちゃんと生きてるな」 樹の顔が離れていく。 アラタは初めて何が起きたか理解した。 高柳 樹と唇と唇による接触 鳥肌がたつ。 冷えていく感覚。 血が上ってゆく。 熱くなる感覚。 手が樹の頬に向かう。 すかさず樹に手首を掴まれ身動きが取れないようになる。 「離せ」 「無理。命令は俺に無効。 俺は樹みたいに優しくないから」 「人生最大の汚点。 ナイフがあったら唇も手首も切り取っている。」 「そりゃ素敵。 突き放した言い方するけど 本当は俺に会いたかったんじゃない? 樹含め。触れたいくせに 嘘はいずれバレるよ」 「黙りなよ。お前の声、虫酸が走る。」 「口説いてる? そんな言い方されるともっと話したくなる」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |