《MUMEI》
「俺のこと待っててくれたでしょ」
「バカらしい」
「そっかー。残念」
「帰る」
「危ないよ。送ってくけど」
「要らん!
彼氏じゃあるまいし」
しまった、と思った。
今なづきが振り向いたら、ルナの笑う顔があるかもしれない。
前だけ見ながら勢いに任せて走り去った。
何度も何度も
自分でなんてことを言ってしまったんだと後悔する。
仮にも美術のライバルに
彼氏じゃあるまいし
なんていうものではない
ルナにとっては友人感覚の距離間をあえて乱していくなんて、今でさえ億劫なのに余計複雑にしてしまった、自分が嫌になる
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