《MUMEI》

そしてまた、罪を重ねてしまった。
神よ、どうか私を罰してください。

私はもう、愛に振り回されたくないのです。


「レイチェル、死体は上手く処理したの?」


「奥様……!」

私を誰か罰してください。

「はい。旦那様は燃やして森に、坊ちゃまは埋めました。」

自分でも驚くくらい冷静に口にしていた。


「馬鹿!埋めてどうするの!金はあの糞餓鬼に下りるようになってるんだから、あれが失踪という扱いになったら権利は放棄されるのよ!」

小気味よい音が頬で響いた。


「申し訳ございません……。」

奥様との出会いは私がまだ屋敷で働き始めの頃だった。
私の働く屋敷の旦那様の従兄弟に当たる人が奥様の夫で、よく起業の援助を求めに来ていた。

奥様は当時、社交界でもその容姿で有名であり、奥様の結婚は落ちぶれた家名の立て直しの為の犠牲だった。
夫婦関係は旦那様の奔放さで決して良いものではなく、何時しか奥様は買い物でしか自分の心を満たせなくなったのだそうだ。

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