《MUMEI》

「そういえば菜畑さ、昔──蹴毬とかやってなかった?」

「ぁぁ──そういえば」

「蹴毬──黄羽様得意だったよね」

「少しだけ、君ともやった事があったな」

「うん──でも全然」



 黄羽様は、本当に蹴毬が上手だった。




「今はもうしなくなったがな──」

「そっか‥」

「たまにこうやって──石蹴りなんかをする位で」

「──もう蹴毬の玉自体ないもんね〜。サッカーとかやんないの?」

「生憎──それには興味が湧かなくてね」

「ふぅん──似たようなもんだと思うけどなぁ」

「いや、全然違うよ。蹴毬は玉を蹴り上げて落とさないようにする遊戯だ。サッカーは──」

「はーいはいっ、また後で聞くからさ? 取りあえずお土産選ぼっ」

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